はじめてのサステナブルファッション 日本で購入できるブランドの選び方
サステナブルファッション、何から始めれば良いか迷っていませんか?
近年、「サステナブル」や「エシカル」といった言葉を耳にする機会が増え、ファッションにおいても環境や社会に配慮した製品を選びたい、と感じている方は多いかもしれません。しかし、いざ始めてみようと思っても、情報があふれていて、どのブランドを選べば良いのか、何が本当にサステナブルなのかを見分けるのが難しいと感じることもあるかと存じます。また、価格が高いイメージがあり、なかなか一歩を踏み出せない、という声も聞かれます。
この記事では、サステナブルファッションにこれから取り組み始めたいという方に向けて、日本で購入できるサステナブル・エシカルなブランドの選び方と、具体的なブランド例をご紹介いたします。この記事をお読みいただくことで、初心者の方でも安心してサステナブルな洋服選びを始められるような、具体的なヒントが得られるでしょう。
サステナブルファッションとは何か
サステナブル(持続可能)なファッションとは、衣服の生産から着用、廃棄に至るまでのプロセス全体において、環境負荷や社会への影響を最小限に抑えることを目指す考え方です。
具体的には、
- 環境への配慮: 有害な化学物質の使用削減、水資源やエネルギーの節約、リサイクル素材や再生可能素材の利用などが含まれます。
- 社会への配慮: 生産に携わる人々の安全な労働環境、公正な賃金、児童労働の禁止といった倫理的な側面が重視されます。
単にデザインが良い、品質が良いというだけでなく、その製品がどのように作られ、どのような影響を地球や人々に与えているのか、という視点が重要になります。
初心者でもできるサステナブルファッションの選び方
難しく考える必要はありません。まずは、ご自身が関心を持てる点から始めてみるのがおすすめです。いくつか具体的な視点をご紹介します。
1. 素材に注目する
どのような素材が使われているかは、環境負荷を知る上で大切な手がかりの一つです。
- オーガニックコットン: 化学肥料や農薬を原則使用せずに育てられたコットンです。従来のコットン栽培に比べて、土壌や水質汚染のリスクを減らすことができます。肌触りが優しい製品も多く見られます。
- リサイクル素材: ペットボトルや漁網、古着などから再生されたポリエステルやナイロンなどの素材です。廃棄物を減らし、新たな資源の消費を抑えることに繋がります。
- 再生繊維(リヨセル、モダールなど): 適切に管理された森林から得られる木材パルプなどを原料とし、環境負荷の低い製造プロセスで作られることが多い素材です。生分解性を持つものもあります。
全てのアイテムの素材を完璧に把握する必要はありません。例えば、「次に買うTシャツはオーガニックコットンにしてみようかな」といったように、一つの基準から意識してみてください。
2. 生産背景に関心を持つ
誰が、どのような環境でその服を作っているのか、という点もエシカルな視点では重要です。
- フェアトレード: 開発途上国の原料や製品を適正な価格で購入することにより、生産者の生活向上や自立を支援する仕組みです。ファッション分野では、途上国の工場で働く人々の労働環境や賃金が保証されているかを基準とするブランドがあります。
- 国内生産/地域生産: 生産地が近いと、輸送にかかるエネルギーを削減できる場合があります。また、国内の職人技術や伝統を守ることに繋がる場合もあります。
ブランドのウェブサイトや商品タグに、素材の認証マークや生産背景に関する情報が記載されているか確認してみましょう。
3. ブランドの透明性を重視する
サステナブルやエシカルを謳っていても、その根拠が不明瞭な場合もあります。信頼できるブランドは、素材の調達先、製造工場、労働環境への取り組みなどについて、ウェブサイトなどで情報を公開していることが多いです。国際的な認証(GOTS認証など)を取得しているかどうかも参考になります。
4. 長く愛用できるか考える
最もシンプルで効果的なサステナブルファッションの実践は、「今持っている服を大切に着る」「本当に気に入った服を長く着る」ことです。流行に左右されすぎないデザインや、お手入れをしながら長く使える丈夫な作りであるか、といった視点も大切です。
日本で購入できるサステナブル・エシカルブランド例
初心者の方にも取り組みやすい、日本で購入可能なブランドをいくつかご紹介します。
People Tree (ピープルツリー)
- サステナブル/エシカルな理由: 日本におけるフェアトレードファッションの先駆者的なブランドです。アジアやアフリカ、南米の約20カ国の生産者パートナーと共に、現地の伝統技術や天然素材を活かしたものづくりをしています。公正な対価の支払い、安全な労働環境の提供、児童労働の禁止などを徹底しています。オーガニックコットンや手織り、手刺繍など、環境負荷の低い伝統技術で作られたアイテムが豊富です。
- アイテム: 衣服(女性向けが多いですが、一部男性向けや子ども向けも)、食品、雑貨など幅広いラインナップです。特にワンピースやブラウスなどが人気です。
- 価格帯: Tシャツは4,000円台から、ワンピースは8,000円〜15,000円台など、比較的手に取りやすい価格帯のアイテムが多く見られます。
- 購入場所: 公式オンラインストア、全国のフェアトレードショップや雑貨店など。
TENERITA (テネリータ)
- サステナブル/エシカルな理由: オーガニックコットン製品に特化した日本のブランドです。国際的なGOTS認証を取得した上質なオーガニックコットンを主に使用しています。タオルや寝具、ベビー用品など、肌に直接触れるアイテムを中心に展開しており、素材の安全安心に強いこだわりを持っています。日本の工場で丁寧に作られている製品も多く、高い品質と耐久性も特徴です。
- アイテム: タオル、寝具(パジャマ、リネン)、ベビー・キッズ用品、ウェア(インナー、リラクシングウェアなど)など。
- 価格帯: タオルは2,000円台から、パジャマは15,000円〜25,000円台など、品質に見合うやや高めの価格帯です。ギフトとしても人気があります。
- 購入場所: 公式オンラインストア、全国の百貨店や直営店舗など。
REN (レン)
- サステナブル/エシカルな理由: 日本のバッグブランドですが、製品づくりにおけるサステナビリティへの配慮が特徴です。主に食肉産業で生まれる副産物としての豚革を有効活用しています。また、製造工程で出る革の切れ端や、回収した使用済みのバッグなどを再利用する取り組みも行っています。日本の職人による丁寧な縫製で、シンプルかつ機能的、そして長く使えるデザインの製品が多いです。
- アイテム: バッグ(トートバッグ、リュック、ショルダーバッグなど)、財布、小物類。
- 価格帯: 小物類は1万円台から、バッグは2万円〜5万円台が中心で、品質と素材に見合う価格帯です。
- 購入場所: 公式オンラインストア、直営店舗、セレクトショップなど。
完璧を目指さず、できることから始めてみましょう
サステナブルファッションへの取り組みは、一度にすべてを切り替える必要はありません。今日ご紹介した選び方やブランドを参考に、「次に何かを買うときは、素材表示を少し気にかけてみようかな」「まずはタオルをオーガニックコットンに変えてみようかな」といったように、ご自身のペースで、無理のない範囲から始めてみることが大切です。
小さな一歩でも、それが集まれば大きな変化に繋がります。この記事が、あなたのサステナブルな洋服選びのきっかけとなれば幸いです。